kyonfu1のブログ

最近Twitterを開設しました。ビルバオという名前で、このブログと同じアイコン画像です。フォローお願いします

試合レビュー(アスレティック対エイバル)

  前回に引き続きアスレティックの試合レビューを行いたいと思います。毎試合レビューすることは出来ないと思いますが、私のモチベーションが続く限りレビューを頑張って書こうと思います。たまにtwitter上で全試合分析されている方を見かけます。どのようにすればそんなにスピード感を持って記事を書けるのか教えてもらいたいです。笑また私自身戦術面については勉強中ですのでご容赦ください。 

 余談はここまでにして、レビューに入ります。前節のアトレティコマドリード戦から中3日、ガリターノ監督はウイリアムスを休ませララサバル・ベスガの両名を先発に指名しました。両チームのフォーメーションは以下の通りです。

f:id:kyonfu1:20200618132029p:plain

両チームのフォーメーション

  エイバルのフォーメーションは4-4-2、一方アスレティックは4-2-3-1のフォーメーションで臨みました。

試合結果

エイバル2-2アスレティック

両チームの狙いと試合の展開

 エイバルはキケ・ガルシアとセルジ・エンリクの2枚で前線を組んできました。両者とも体を張ってボールをキープし、ペナルティーエリアの中に陣取り点を取ることが得意です。 またサイドにはオレジャナやペドロレオン、ホセアンヘルなど質の高いクロスを上げることが出来る選手がいます。特にホセアンヘルはリーガNO1のクロス名人だと思います。ですのでエイバルの得点パターンはサイドからのクロスであり、エイバルのホームイプルアのピッチが狭いことも重なりクロスこそがエイバルの生命線だと考えられます。

 

 一方アスレティックもイプルアのピッチの狭さとエイバルのプレス強度を考え、トップにはヘディングに強いラウール・ガルシアを選択します。またエイバルの空中戦への対策とボール(こぼれ球)を回収することを目的として、中盤にベスガを起用しました。ガリターノも試合の展開がロングボールを主体としたものになると理解していたように感じます。

 

 試合を通してビルドアップの際に中盤を経由するシーンはあまりなく、ディフェンスライン若しくはボランチから一気に中盤を追い越し相手の陣地に起点を作るダイレクト攻撃が主体となりました。

下の両チームのパス成功率からもダイレクト攻撃が多かったことが分かると思います。

両チームの中盤のパス成功率 

ダニガルシア:78%

ベスガ:72%

エスポシト:60%

エスカランテ:56%

 

センターバックのパス成功率 

イエライ:63%

イニゴマルティネス:58%

パウロオリベイラ:40%

アルビージャ:51%

 

 アスレティクのCB2人は足元の技術に確かなものを持っていると思います。そのような2人でさえパス成功率がこんなに低くなってしまうほどボールの主導権が激しく動いたと思います。

 

アスレティックの攻撃面

 アスレティックの攻撃面ですが、とりあえずラウールガルシアへロングパスを放り込みボールをキープしようとしていました。というのもエイバルのストライカー2枚+ウイング2枚で前からプレスをかけてきたため、ボールを繋ごうにも上手くいきませんでした。

f:id:kyonfu1:20200618142031p:plain

エイバルのプレス

 序盤はロングボールをラウールガルシアが頑張って、ボールを収めてくれていました。前線でボールが収まっているうちは、ショートパスを多用したビルドアップと変わりませんので特に問題はありません。ラウールガルシアがサイドでボールを収めた後、中央から流れてきたムニアインやウイングがボールに関わり、SBのユーリやカパの上りを待つ形が成功していました

 

 しかし中盤以降エイバルの中盤がプレスを強めたことでこの戦術は上手く機能しなくなりました。ガリターノ監督は後半の初めからウイリアムスを投入し、エイバルディフェンスの裏を突くことでラインブレイクやエイバルのディフェンスラインを押し下げようとしました。

 

 1つビルドアップで有効な方法を書いてみようと思います。エイバルは前線からプレスをかけてくるという特性があります。プレスでボールを奪いショートカウンターを発動することがエイバルの大きな武器です。そのエイバルの特性を活かし、まずSB(ユーリ)が低い位置でボールを受けます。するとエイバルのウイング(ペドロレオン)がプレスをかけてくるはずです。

f:id:kyonfu1:20200618150520p:plain

ビルドアップ1

 そうすることで①コルドバへパスを通すためのスペースを作ることが出来ます。もしエイバルのSB(ホセアンヘル)がパスを出させまいとコルドバにプレスをかけてくるなら、②ムニアインがSB(ホセアンヘル)の裏のスペースを突きます。要はホセアンヘルのポジショニングに迷いを生じさせるのです。

f:id:kyonfu1:20200618150500p:plain

ビルドアップ2

  あくまで1つの方法ですが、エイバルの特性を上手く利用したビルドアップになるはずです。まあエイバルの監督であるメンディバルがすぐに対応すると思いますが笑

得点シーン 

 そろそろ文字数が多くなってしまったので、得点シーンの解説に行きたいと思います。今回はアスレティックの2点目について解説しようと思います。(1点目はPKでした)

動画の5分辺りを見てみて下さい。

www.youtube.com

 ウイリアムスがつぶれ役となり、ダニガルシアがボールを拾います。そのダニガルシアからカパへパスが出されます。カパが縦に突破することでエイバルの選手4人が引き付けられます。

f:id:kyonfu1:20200618155135p:plain

得点シーン1

 すると中央に広大なスペースが生まれてしまいました。あわててオレジャナがスペースを消しに行きますが間に合いません。カパから出ダニガルシアにボールが渡り、ワンタッチでビジャリブレへパスを出します。そしてそのパスをビジャリブレが冷静に決めました。

 エスカランテがこのとき、カパの動きにつられず中央のスペースを埋めていれば結果は異なるものとなったかもしれません。

f:id:kyonfu1:20200618155144p:plain

得点シーン2

 このシーンでビジャリブレは素晴らしい動きをしていました。まず敢えてウイリアムスの斜め後ろにポジショニングすることで、エイバルのセンターバック2枚の死角となる位置にポジショニングします。

 そしてダニガルシアが触ると同時にホセアンヘルとウイリアムスが気になったパウロオリベイラの間にあるスペースへ飛び込むことで、フリーの状態をつくり得点を奪いました。ホセアンヘルはサイドにいるイバイが気になり内に絞ることが出来ません。おそらくビジャリブレは周囲の状況を読み取り、瞬時にこのポジショニングをしたのだと思います。

 一見ペナルティーエリアの中はエイバル4人アスレティック3人で数的不利な状態となっています。しかしビジャリルベがこのような動きをすることで、ポジショニング的に有利な状態を作りだしました。彼のストライカーとしての才能を見た気がします。Bチームで20点奪ったのも納得です。

f:id:kyonfu1:20200618155501p:plain

得点シーンのビジャリブレの動き

アスレティックの守備

 守備についてはとにかくラウールガルシアとムニアインが相手のCBやボランチにプレスをかけることで、相手のロングパスの精度を落とそうとしていました。そして来たロングボールに対してCBはボールをヘディングで跳ね返すことが今日の彼らの主な仕事でした。ある程度エイバルの攻撃には対応できていたと思います。

 1つ気になったのはSB(特にカパ)の裏へセルジエンリクが走り込み、ボールを受ける場面が多くありました。多少はしょうがないと思いますが、サイドバックが自分で裏をケアするのかセンターバックがサイドッバックの裏に流れてケアするのか、はたまたウイングがサポートするのか決まり事を決めるべきです。

 

簡単に選手を採点

 偏見もありますがご容赦を。

ウナイシモン:安定 4(平均4の7点満点)

 見せ場は少なかったが安定感のあるプレー。何度か素晴らしいロングフィードがあった。

カパ:切り込み隊長

 同点においつく場面で重要な役割を果たした。走力だけでなく前半五分のムニアインのパスを受ける際のフェイントとコルドバへのパスなど重要な局面で素晴らしい動きを見せた

イエライ:苦闘

 足元の技術力の高さを見せつけた。セルジエンリクとのマッチアップはフィジカル的に少し苦戦していたか……

イニゴマルティネス:統率者

 可もなく不可もなく

ユーリ:気分屋

 エイバルの4-4-2の弱点である縦のラインを積極的に攻略していた。ただクロスを上げる回数は少なかった。

ダニガルシア:厄日

 エイバルに2点目を献上する不用意なPKを与えてしまった。1失点目でもヘディングでのクリアミスをしてしまった。ただビジャリブレのシュートをアシストして挽回。

ベスガ:重戦車

 時には前線に飛び出し、時には中盤で相手を潰す役割を果たした。

コルドバ可能性

 前半5分のシュートはデミトロビッチのスーパーセーブに遮られた。ヒーローになる可能性があった。

ララサバル:バランス

 新たな右サイドのオプションになる。攻守のバランスを見極めたプレーを完遂。

ムニアイン気分屋

 いい日もあれば悪い日もある。ピッチ全体を走り回ったが今日は彼の日ではなかった。

ラウールガルシア:重心

 前半は彼がアスレティックの攻撃の中心だった。ベテランとは思えないプレーをした。PKも落ち着いて決めた。

ビジャリブレ:希望

 素晴らしいゴールを決めた。新たなアスレティックのストライカーとして将来は約束されたかもしれない

イニャキウイリアムス:積極的

 相手の陣形を崩そうと奮闘した。流れを変える役割を果たした。

レクエ:最適解

 彼の守備力であればSBよりウイングのほうが良いかもしれない。

最後に

 今回はここまでです。前回に比べプレーが選手のプレーシンプルだった分、戦術面について書くのが難しかったです。ぜひ他の方の意見などもお聞きしたいです。(特に両チームの守備面について)

 モチベーションか続く限り書いていこうと思います。(既に全試合レビューはあきらめています笑)アドバイスや感想があれば、twitterのDMやこのブログのコメントに書いて頂けるとうれしいです。今後の参考になりますし、何より私のモチベーションになります。

 

twitterのフォローもよろしくお願いします。

 

 

試合レビュー(アスレティク対アトレティコ)

 


 新型コロナウイルスの蔓延によりリーグ戦が中止されてから約3か月、ようやくリーグ戦が再開しました。ヨーロッパとJリーグの試合を1年中観戦している私からすると、この3か月間はとても長く感じました。フットボールの興奮をまた味わえると思うと感慨深いものがあります。

 

 さて今回はアスレティックの戦術レビューを行いたいと思います。私自身初めての試みですし、特に戦術面にはまだまだ勉強不足の面があると思いますが読んで頂けると幸いです。私の書いている戦術に反対意見などがあれば、ぜひtwitterのDMなどで教えて下さい。もし大きな間違えでしたら書き換えますし、これからの参考としたいと思います。

フォーメーション

 

  さてでは両チームのフォーメーションです。アスレティックはいつも通り4-2-3-1アトレティコは4-4-2でした。

f:id:kyonfu1:20200615171233p:plain

フォーメーション

両チームの狙い

 アトレティコはいつも通り4-4-2でスライドしながらスペースを埋める守備を行います。攻撃面では、ジョレンテがトップに起用されています。一度ジョレンテにボールを当て、そこからサイドに展開するなど、アスレティクのバイタルエリア攻略を目標としていました。またSBが高い位置をとりクロスを上げるために、ウイングのカラスコやコケ少し中にポジショニングすることを意識していました。

 

 一方アスレティックの攻撃の狙いは大きく分けて2つありました。①「サイドチェンジを多用することでアトレティコの守備を動かし、サイドにスペースを空ける。」②「アトレティコのCBとSBの間スペースを積極的に活用する。」この2つを行うことで最終的にクロスを上げることを目的としていたように感じます。

 アスレティックの攻撃について詳しく

 ①のサイドチェンジの多用については、前半36分に先制した場面に表われています。イニゴマルティネスのサイドを変えるロングフィードムニアインが受けて右サイドでラウールガルシアやカパが絡みウイリアムスが逆サイドのユーリへサイドチェンジ、そしてユーリのマイナスへのクロスがムニアインのゴールにつながりました。この場面は1つアスレティックの狙いが上手くいった場面ではないでしょうか。

f:id:kyonfu1:20200615181009p:plain

得点シーン1

f:id:kyonfu1:20200615181117p:plain

得点シーン2

 またアスレティックはSBのカパとユーリどちらもクロスの精度が高いため、出来るだけ2人を前でプレーさせてクロスを上げさせるという狙いがあります。必然的に両サイドが上がった場所にスペースが出来るわけですが、ここはCBやミットフィルダーの2枚がスライドすることでスペースを必ず埋めるようにしています。(得点シーン2)

 

 特にアトレティコジエゴコスタやモラタはスペースを与えてしまうと独力でボールを運ぶ力があるので、このルールは試合を通して徹底されていました。

 

 さて②のアトレティコのCBとSBの間のスペースを積極的に活用するについては、59分のシーンが分かりやすいと思います。ウイリアムスが相手のSBとCBの隙間を狙いサイドに流れ、そこにイニゴマルティネスがパスし、最終的にユーリがシュートを打つところまで行きました。

f:id:kyonfu1:20200615183739p:plain

 

f:id:kyonfu1:20200615184411p:plain

 この場面で素晴らしい動きを見せたのはユーリです。この試合は相手のCBとSBの隙間を狙うことが狙いでしたが、そのためにはアスレティクのSBが高い位置を取りすぎてはいけません。高い位置を取りすぎてしまうと、それだけ相手CBとSBの隙間のスペースを埋めてしまうからです。ですのでユーリは初め少し低い位置にポジショニングし、イニゴマルティネスがウイリアムスにパスを出した瞬間スプリントを行っています。

f:id:kyonfu1:20200615190453p:plain

SBが高い位置を取りすぎてはいけない理由

  上の図はSBが高い位置を取りすぎた場合に生じる問題点を書いたものです。右サイドのカパが高い位置を取りすぎることで、CBとSBの間のスペースが消えてしまうのです。反対に左サイドのユーリが少し低い位置にポジショニングし、トリッピアーを引き付けることで、サビッチとトリッピアーの間に大きなスペースを作り出します。

 

 明確な狙いとチームの共通認識がなければこのユーリの動きは出来ないと思います。おそらく普段からガリターノが選手に指示し練習しているのだと思います。

 

 ここまでアスレティックの攻撃面について話しました。①「サイドチェンジの多用」については重にムニアインやイニゴマルティネスからのパスが多かったです。②の「CBとSBのスペースを活用する」については、ウイリアムスやムニアインが精力的に動いていました。

 

 ムニアインは①と②の戦術や、ドリブル・最後の仕上げとしてフィニッシュにも絡んでいることからアスレティックの攻撃の核と言えると思います。逆に言えばムニアインの調子が悪いときに、いかに攻撃のパターンを増やすことが出来るのかが今後のアスレティクの飛躍の鍵となると言えるでしょう。

 

 アスレティックの守備面

 アトレティコのコスタやモラタといったストライカーはスペースがあれば活躍できます。逆に言えばスペースがなければあまり怖くないのがこの2人です。ですので基本的にボールを奪われたらリトリートすることで、スペースを無くしていました。モラタやコスタは完全に抑えることが出来ていましたが、ジョレンテは少し厄介な相手だったと思います。

 

 本職がフォワードの選手ではないですが、バイタルエリアで何度かボールを収めてアトレティコの攻撃にリズムと展開力を与えていました。ただカラスコが完全に空気と化し、コケやトーマス以外アトレティコの選手たちが本来のパフォーマンスを出せていなませんでしたので、そこまで大きな問題とはならなかっです。

 

 「相手がリトリートした時にどのように得点するか」はシメオネ政権の永遠の課題となる予感がします。リヴァプールのように前からプレスをかけてきて、後ろに広大なスペースがあるチームに対してはアトレティコが世界一強いのですが……。

 

簡単に選手を採点

 簡単にですが個人的な採点を行いたいと思います。偏見もあるかもしれませんがお許しください。笑

ウナイシモン5(4が平均の7点満点)

 序盤と失点シーンは試合勘の不足を露呈してしまうが、2本連続でセーブした場面は素晴らしかった。

カパ4

 得点シーンに絡みいつも通りチームのために走った。

ユーリ5

 ムニアインのゴールをアシスト。ただいつものような強引な突破は少なく、右足のおもちゃ具合を再確認させられた。

イニゴマルティネス5

 守備面ではリーダーとして、攻撃面ではビルドアップに貢献。失点シーンはコケに食いついてしまいスペースを与えてしまったが致し方ないか。

ジェライアルバレス

 不用意なクリアで失点につながるプレー。それ以外は及第点だったために惜しい。

ウナイロペス4

 常にボールを受けられる位置にポジショニングし、彼が中心となりビルドアッツプを行う。もう少し縦パスを入れることが出来れば、核となれるだろう。

ダニガルシア4

 後方のスペースを埋めるなど、陰でチームに貢献していた。

ムニアイン

 この試合アスレティック唯一の点を取る。ドリブルで相手を翻弄しつつ展開力を見せつけた

ラウールガルシア4

 ビルドアップで困ったときにはラウールガルシアへのロングパスが1つの形だった。またエリア内に頻繁に顔を出し得点の機会をうかがった。

コルドバ

 残念ながら見せ場はなかった。彼のドリブルはアトレティコの厚い守備を崩すことが出来なかった。

イリアムス5

 スピードを生かす機会はあまりなかったが、両サイドに積極的に顔を出し、パス精度の高さを見せつけた。

サンセット4

 途中交代で投入された。中央の高さをあげることが狙いか。もう少テクニカルな部分を見せてほしいが、まだまだ若いのでこれから自分のスタイルを見つけてほしい。

 

最後に

 いかがでしたでしょうか。初めて試合のレビューをしてみました。もっとこうした方がいいという意見や、ここは違うのではないかという場所は教えて下さい。次回の参考にしたいと思います。ここまで読んで頂きありがとうございました。

 

 

 ビルバオという名前でTWITTERもやっています。フォローもよろしくお願いします。DMやコメントを頂けるとモチベーションになります!

 

アリツ・アドゥリス~全てのお手本であり、記憶に残るレジェンド~

 ビルバオは5月20日、FWアリツ・アドゥリス(39)が現役から退くことをクラブ公式サイトで発表した。アスレティクで(316試合118得点)、現役通算640試合221得点。リーガで長い間トップクラスパフォーマンスを見せてくれたアドゥリスに感謝したいと思う。

 

 2002年にアスレティクでデビューし、マジョルカバレンシアでプレーした。2012年にアスレティクに復帰したアドゥリスは常に前線のターゲットマンとして相手DFとバトルを繰り広げてきた。アスレティクのサポーターにとって、相手選手だけではなく時には審判にまで詰め寄り感情を露わにするその姿は、39歳という年齢も合わさり胸が熱くなる光景だったのではないだろうか。

f:id:kyonfu1:20200531174334j:plain

Photo by Juan Manuel Serrano Arce/Getty Images

 

 WOWOWやYUTUBEでアドゥリスがこのようなことを言っている。

 

 「フットボールは己が別れを告げる前に別れを告げてくるものだ。私が言い続けていたその瞬間がやってきた。先日医師から人口関節置換手術を勧められた。このままだと日常生活にも支障があるそうだ。残念ながら私の体はもう十分だと言っている。望んだ形でチームを助けることができなくなった。これがアスリートの人生。とてもシンプルだよ。いま私たちは悲惨で苦しい状況を生きている。だから僕のことは心配しないでほしい。夢にまで見た決勝のことは忘れるよ。こうして私の歩んできた道は終わった。最初から最後まで忘れられない素晴らしいものだった。心の底から感謝する」

 

 ここ数シーズンは怪我に苦しみ以前のような活躍をすることはできなかった。私のようなサポーターは選手が試合を行っているところしか見ることが出来ない。しかし責任感の強いアドゥリスだからこそ、トレーニングをしながら本来の姿を取り戻そうと見えないところで努力していたのだろう。その努力が結果として現れたのは2019-2020シーズン第1節バルセロナ戦のボレーシュートだ。

 

 スローインを受けたラウールガルシアがSBのカパにボールを落とし、カパからのクロスをアドゥリスがジャンピングボレーで決めた。アドゥリスのキャリアベストゴールとなるかもしれない。キャリア最後の得点がキャリアベストゴールとなる。これほど彼らしいことはあるだろうか。

 

 彼のやり残した最後の仕事は国王杯決勝でソシエダを破り、サポーターの下へ優勝杯を持ち帰ることだった。アドゥリスもこう言っている。「夢にまで見た決勝のことは忘れるよ」と。コロナウイルスが無ければ有終の美を飾れたかもしれない。不幸にも彼の夢は叶わなかった。しかし彼の背中を追いかけてきた1人の選手がいる。イニャキ・ウイリアムスだ。

 

イリアムスはアドゥリスが引退を発表した時このようなことを述べている。

 「私の父よ、あなたがいなくなって寂しいです。あなたの全てに感謝します。私はあなたを愛しています。」

 アスレティクで最高の時(スーペルコパ優勝)も最悪な時(残留争い)もアドゥリスの隣で学んだ。それは技術面だけでなくアスレティクへの忠誠心やゴールを奪うことへの執念などフットボールで最も大切な根幹の部分だと思う。

 コロナウイルスの影響で国王杯決勝がいつになるか分からない。しかし開催されるその時が来れば、ウイリアムスを初めムニアインやウナイシモンなどアドゥリスから夢を託された選手が大いに活躍してくれるだろう。

 その時ピッチにアドゥリスはいない。だが彼にムニアインが優勝トロフィーを掲げる光景を見てもらう。そんな未来が実現することを願っている。

f:id:kyonfu1:20200531174806j:plain

Photo by Juan Manuel Serrano Arce/Getty Images

 

 話しは変わるが、アドゥリスが引退するとアスレティックはチームの顔となるレサマ出身のベテラン選手が一人もいないことになる。私がアスレティックを見るようになって、どのようなシーズンもアスレティックのフィロソフィーを伝えるベテランの選手がいた。グルペギやイラオラ、スサエタといった選手だ。

 

 これからサンセットやビジャリブレ、そしてレサマにいる若手選手にアスレティックのフィロソフィーを伝えるのは現キャプテンのムニアインになるだろう。彼は27歳のリーガで最も若いキャプテンだ。しかし300試合以上公式戦に出場し、大きな怪我を何度か乗り越えている。まさに経験豊富な歴戦の強者だ。 

 若手選手だけではなく、サポーターにまでアスレティックの伝統や一体感そして最も大切な忠誠心と情熱を伝えるために、ムニアインはこれまで以上にピッチの内外で大きな役割を担うことを期待している。

 

 現在コロナウイルスの影響でサッカー界に大きな災いが降り注いでいる。選手・サポーターが試行錯誤しながらアスレティックに最高の未来が訪れることを願っている。

 

 

 

 

最後にTwitterの方も載せておきますので、フォローもよろしくお願いします。

気軽にDMなどをしていただけるとモチベーションが上がります。

twitter.com