試合レビュー(アスレティク対アトレティコ)
新型コロナウイルスの蔓延によりリーグ戦が中止されてから約3か月、ようやくリーグ戦が再開しました。ヨーロッパとJリーグの試合を1年中観戦している私からすると、この3か月間はとても長く感じました。フットボールの興奮をまた味わえると思うと感慨深いものがあります。
さて今回はアスレティックの戦術レビューを行いたいと思います。私自身初めての試みですし、特に戦術面にはまだまだ勉強不足の面があると思いますが読んで頂けると幸いです。私の書いている戦術に反対意見などがあれば、ぜひtwitterのDMなどで教えて下さい。もし大きな間違えでしたら書き換えますし、これからの参考としたいと思います。
フォーメーション
さてでは両チームのフォーメーションです。アスレティックはいつも通り4-2-3-1アトレティコは4-4-2でした。
両チームの狙い
アトレティコはいつも通り4-4-2でスライドしながらスペースを埋める守備を行います。攻撃面では、ジョレンテがトップに起用されています。一度ジョレンテにボールを当て、そこからサイドに展開するなど、アスレティクのバイタルエリア攻略を目標としていました。またSBが高い位置をとりクロスを上げるために、ウイングのカラスコやコケ少し中にポジショニングすることを意識していました。
一方アスレティックの攻撃の狙いは大きく分けて2つありました。①「サイドチェンジを多用することでアトレティコの守備を動かし、サイドにスペースを空ける。」②「アトレティコのCBとSBの間スペースを積極的に活用する。」この2つを行うことで最終的にクロスを上げることを目的としていたように感じます。
アスレティックの攻撃について詳しく
①のサイドチェンジの多用については、前半36分に先制した場面に表われています。イニゴマルティネスのサイドを変えるロングフィードをムニアインが受けて右サイドでラウールガルシアやカパが絡みウイリアムスが逆サイドのユーリへサイドチェンジ、そしてユーリのマイナスへのクロスがムニアインのゴールにつながりました。この場面は1つアスレティックの狙いが上手くいった場面ではないでしょうか。
またアスレティックはSBのカパとユーリどちらもクロスの精度が高いため、出来るだけ2人を前でプレーさせてクロスを上げさせるという狙いがあります。必然的に両サイドが上がった場所にスペースが出来るわけですが、ここはCBやミットフィルダーの2枚がスライドすることでスペースを必ず埋めるようにしています。(得点シーン2)
特にアトレティコのジエゴコスタやモラタはスペースを与えてしまうと独力でボールを運ぶ力があるので、このルールは試合を通して徹底されていました。
さて②のアトレティコのCBとSBの間のスペースを積極的に活用するについては、59分のシーンが分かりやすいと思います。ウイリアムスが相手のSBとCBの隙間を狙いサイドに流れ、そこにイニゴマルティネスがパスし、最終的にユーリがシュートを打つところまで行きました。
この場面で素晴らしい動きを見せたのはユーリです。この試合は相手のCBとSBの隙間を狙うことが狙いでしたが、そのためにはアスレティクのSBが高い位置を取りすぎてはいけません。高い位置を取りすぎてしまうと、それだけ相手CBとSBの隙間のスペースを埋めてしまうからです。ですのでユーリは初め少し低い位置にポジショニングし、イニゴマルティネスがウイリアムスにパスを出した瞬間スプリントを行っています。
上の図はSBが高い位置を取りすぎた場合に生じる問題点を書いたものです。右サイドのカパが高い位置を取りすぎることで、CBとSBの間のスペースが消えてしまうのです。反対に左サイドのユーリが少し低い位置にポジショニングし、トリッピアーを引き付けることで、サビッチとトリッピアーの間に大きなスペースを作り出します。
明確な狙いとチームの共通認識がなければこのユーリの動きは出来ないと思います。おそらく普段からガリターノが選手に指示し練習しているのだと思います。
ここまでアスレティックの攻撃面について話しました。①「サイドチェンジの多用」については重にムニアインやイニゴマルティネスからのパスが多かったです。②の「CBとSBのスペースを活用する」については、ウイリアムスやムニアインが精力的に動いていました。
ムニアインは①と②の戦術や、ドリブル・最後の仕上げとしてフィニッシュにも絡んでいることからアスレティックの攻撃の核と言えると思います。逆に言えばムニアインの調子が悪いときに、いかに攻撃のパターンを増やすことが出来るのかが今後のアスレティクの飛躍の鍵となると言えるでしょう。
アスレティックの守備面
アトレティコのコスタやモラタといったストライカーはスペースがあれば活躍できます。逆に言えばスペースがなければあまり怖くないのがこの2人です。ですので基本的にボールを奪われたらリトリートすることで、スペースを無くしていました。モラタやコスタは完全に抑えることが出来ていましたが、ジョレンテは少し厄介な相手だったと思います。
本職がフォワードの選手ではないですが、バイタルエリアで何度かボールを収めてアトレティコの攻撃にリズムと展開力を与えていました。ただカラスコが完全に空気と化し、コケやトーマス以外アトレティコの選手たちが本来のパフォーマンスを出せていなませんでしたので、そこまで大きな問題とはならなかっです。
「相手がリトリートした時にどのように得点するか」はシメオネ政権の永遠の課題となる予感がします。リヴァプールのように前からプレスをかけてきて、後ろに広大なスペースがあるチームに対してはアトレティコが世界一強いのですが……。
簡単に選手を採点
簡単にですが個人的な採点を行いたいと思います。偏見もあるかもしれませんがお許しください。笑
ウナイシモン5(4が平均の7点満点)
序盤と失点シーンは試合勘の不足を露呈してしまうが、2本連続でセーブした場面は素晴らしかった。
カパ4
得点シーンに絡みいつも通りチームのために走った。
ユーリ5
ムニアインのゴールをアシスト。ただいつものような強引な突破は少なく、右足のおもちゃ具合を再確認させられた。
イニゴマルティネス5
守備面ではリーダーとして、攻撃面ではビルドアップに貢献。失点シーンはコケに食いついてしまいスペースを与えてしまったが致し方ないか。
ジェライアルバレス2
不用意なクリアで失点につながるプレー。それ以外は及第点だったために惜しい。
ウナイロペス4
常にボールを受けられる位置にポジショニングし、彼が中心となりビルドアッツプを行う。もう少し縦パスを入れることが出来れば、核となれるだろう。
ダニガルシア4
後方のスペースを埋めるなど、陰でチームに貢献していた。
この試合アスレティック唯一の点を取る。ドリブルで相手を翻弄しつつ展開力を見せつけた
ラウールガルシア4
ビルドアップで困ったときにはラウールガルシアへのロングパスが1つの形だった。またエリア内に頻繁に顔を出し得点の機会をうかがった。
コルドバ3
残念ながら見せ場はなかった。彼のドリブルはアトレティコの厚い守備を崩すことが出来なかった。
ウイリアムス5
スピードを生かす機会はあまりなかったが、両サイドに積極的に顔を出し、パス精度の高さを見せつけた。
サンセット4
途中交代で投入された。中央の高さをあげることが狙いか。もう少テクニカルな部分を見せてほしいが、まだまだ若いのでこれから自分のスタイルを見つけてほしい。
最後に
いかがでしたでしょうか。初めて試合のレビューをしてみました。もっとこうした方がいいという意見や、ここは違うのではないかという場所は教えて下さい。次回の参考にしたいと思います。ここまで読んで頂きありがとうございました。
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何か物足りなかった、いつものサンマメスみたいな雰囲気じゃないからかな?
— ビルバオ (@USDk2B47Bnbd3T6) 2020年6月14日