サンフレチェ広島対ヴィッセル神戸 試合レビュー
今までこのブログではスペインリーグについての記事のみ書いていました。しかし私はJリーグ(サンフレチェ)の試合もよく観戦に行っています。しばらくコロナウイルスの影響で無観客試合が続くと言われていますが、今回はサンフレチェ広島対ヴィッセル神戸の試合についてレビューしたいと思います。
まずフォーメーションはこちらです。いつも通りどちらのチームも5バックを選択しました。山口蛍が前線に配置されたのは、前線からのボール奪取と広島の左サイドの攻撃を警戒してのことだと思います。
基本的には両チーム同じような並びをしていました。ですので両チームとも相手のビルドアップの際、3CBに対して前線3枚がはめ込む形となります。
1.神戸の攻撃とサンフレチェの守備
神戸はCB3枚と両SB2人のうち1人が加わり計4人で最終ラインからボールを運びます。中盤のサンペールが時には最終ラインに加わることもありましたが、基本的に彼は最終ラインの1つ前でボールを捌くことが多かったように感じます。イニエスタはかなり自由に動き、最後の崩しの場面に係ることもあれば、ボールをもらいに降りてくることもありました。神戸の攻撃は全てイニエスタを経由することで成り立っていました。
また山口と古橋のトップ下2人はCBとSBの間に隙間があればそのスペースに走り込んだり、イニエスタやドゥグラスと連携出来る位置にポジショニングするなど臨機応変に動いていました。
ではこの神戸の動きに対して広島はどのように対応したのでしょうか?
城福監督は前半20分までは前線からプレスをかけに行き、20分からハーフタイムまでは自陣にリトリートすることで時間帯によってプレス&リトリートを使い分けていました。選手のコンディション面から、1試合を通してプレスをかけることは不可能と判断したのだと思います。
1プレス
中盤のサンペールがボールを受けた際、広島はマンツーマンのプレスではめに行きます。この時前線だけでなく中盤や両サイドバックも連動することでパスコースを消し、相手のミスを誘います。
ただサンペールも元バルセロナの選手なので、ボールの受け方が非常にうまいです。
特に川辺のプレスが遅れた時、ダンクレーや大崎と斜め縦の関係を作ることで広島のプレスを掻い潜ります。城福監督は川辺のプレスが遅れることも考慮し、川辺に中央のパスコースを消しながらプレスを行わせていました。
そうすることでサンペールの出せるパスコースはサイドの山口蛍に絞られました。山口蛍は本職が中盤の選手であり、相手を背負うことや、前線でボールを扱うことに慣れていません。マークする佐々木は広島で一番対人守備が強い選手です。結果前半20分まで、山口蛍のところでボールを奪うことが多くなりました。
2.リトリート
イニエスタが広島のバイタルエリアで自由にボールを持ってしまうと、そこから決定的なチャンスが生まれてしまうので、コンパクトな4-4-1の守備体系でバイタルエリアのスペースを消すようにしていました。後半、攻撃が失敗しボールをロストした瞬間にプレスをかけ、プレスが交わされたらリトリートするように指示が出されていました。(リードしていたため基本的にはリトリートです)
2.広島の攻撃
神戸は守備時5-1-3-1のフォーメーションで対応します。そのため広島には2つの攻撃パターンがあります。
まず1つ目はサンペールの両脇のスペースです。このスペースをペレイラや森島、ヴィエイラ3人が攻略できればよかったのですが、神戸のCB3枚が後方にスペースを空けることをためらわずにスペースを埋めていました。結果上手くサンペールの両脇のスペースを攻略することが出来ませんでした。
ただCB3枚がかなり前に出るので、川辺が上手く上がってCBの裏のスペースを突くことが散見されました。すごく有効な動きだと思います。
2つ目は左サイドに人数を集めることで、ボールを前に運ぶ(オーバーロード)ことです。広島の攻撃の7割がこのサイドから生まれていました。中央から流れてきた森島と柏・佐々木・川辺を入れた4人が左サイドに集まり、パスを回しながらクロスを狙っていました。この試合は左に人数を集める戦略が成功していました。
3.試合の経過
前半34分にコーナーキックからペレイラのゴールで広島が先制。
後半2分浅野が追加点。川辺が相手DFの股を抜く技ありアシスト。
後半54分神戸が小川、続けて田中を投入。フォーメーションも4-3-3へ。
このフォーメーションチェンジは単純に攻撃的な選手を前に置くためか……
広島は東を投入。ヴィエイラがほとんど攻撃に絡めないことと、東のスピードを活かす狙いがあるか
後半80分ペレイラが本日2ゴール目となる追加点を決める。東がアシスト。
4.最後に
前半柏が負傷したのは痛いが、交代した浅野が守備でも貢献し選手層の厚さを見せつけました。柏の怪我以外は城福監督のプラン通りに試合は進んだと思います。特に守備時にプレスとリトリートを使い分けることで神戸の攻撃を完全にシャットアウトしました。そしてビッグセーブを連発した大迫、中盤で安定したボール回しと効果的な前線への駆け上がりを見せた川辺、2ゴールの活躍を見せたペレイラはこの試合のMVPと言えるでしょう。
少し心配なのはヴィエイラです。コンディションが上がっていないのか、ボールに触った回数もわずか9回、シュートに絡むことも少なかった印象です。
これからjリーグも過密日程となりますが、広島の攻撃を司っていた柏の怪我が心配です。控えの浅野や藤井はある程度穴を埋められると思いますが、まだまだ柏のレベルではありません。柏の負傷した穴をどうやって埋めるのかが今後の課題となるでしょう。
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サンフレッチェの試合レビューも書いてみよ
— ビルバオ (@USDk2B47Bnbd3T6) 2020年7月4日