フェルナンド・トーレス~エルニーニョ・神の子と呼ばれた男~ 前編
神の子といえばだれなのか?サッカー界にはマラドーナやメッシをはじめ神の子という名の選手がいくらか存在している。今回はアトレティコの神の子フェルナンド・トーレスについて書こうと思う。トーレスは現在Jリーグのサガン鳥栖に所属している。つい最近引退を表明したトーレスだがスペイン代表としてユーロ優勝やワールドカップ優勝を成し遂げた、まさにスペインを代表するFWだ。
1984年にスペイン・マドリッドに産まれたトーレスは5歳で地元のクラブに入団すると、11歳の時にスカウトされアトレティコの下部組織に入団した。そこで順調に成長し16歳でトップチーム昇格を果たした。当時のアトレティコはチャンピオンズリーグ決勝にすすめるようなチームではなく、せいぜい2部リーグや1部の中位あたりが定位置となっていた。
そのため19歳にしてキャプテンを任されたトーレスに対するアトレティーたちの期待は絶大だった。その期待を力にしてトーレスは点をとりつづけた。02~03シーズンからリバプールに移籍するまで5年間連続で2桁ゴールを達成したことは彼の偉大な功績だ。
07-08シーズン・リバプールに移籍した後チェルシー⇒ミランを経由しアトレティコに復帰した。トーレスはアトレティコ復帰の際こんなコメントを残している。「家に帰ることは素晴らしいことだ。長い間この瞬間を待ち望んできた。今は早くカルデロンでプレーしたい。ロヒブランコ(赤白)のシャツを着て。」アトレティコの貴公子の復帰セレモニーに4万5千人ものファンが集まったという。この数字はビジャやロナウドが加入した際よりも多く、スペイン史上最大の観客がトーレスのために集まった。
トーレスが加入した当初その力を疑問視する声が多かった。彼がチェルシーやミランで残した結果を考えれば当然だろう。レアルで監督をしたこともあるファビオ・カペッロはこんなことを言っている。「彼はもう落ち目のように見える。以前のようなパワーはもうないのではないか」と。
しかし彼がプレーする場所は、チェルシーのホーム・スタンフォードブリッジでもミランのホーム・サンシーロでもない。彼が戻ってきた場所はアトレティコのホーム・ビセンテカルデロンだった。
カペッロや専門家たちは彼が本当の家でプレーした時のポテンシャルを見抜くことが出来なかったのだろう。復帰1年目こそ公式戦6ゴールに終わったが、2年目からアトレティコ退団まで公式戦で2桁ゴールを奪い続けた。
私はトーレスがアトレティコ時代に決めた数多くのゴールの中で、一生忘れないであろうゴールが1つある。セルタ戦で決めたシュートだ。カラスコ(なつかしい)から受けたパスをトーレスがわざと浮かし、オーバーヘッド気味に後ろ向きから決めたスーパーゴールだ。ぜひYouTubeで見てほしい。
当時私は他のサッカーファンと同じく、トーレスは終わった選手だと思っていた。しかしこのゴールを見た瞬間、彼の偉大さを思い知った。ボールロストが多く、判断ミスも多く、全盛期のスピードは見る影もない。しかし彼の天性のゴールハンターとしての能力を私に見せつけるのには十分だった。
今回はこの辺で終わろうと思います。後編も出す予定です。