~イニャキ・ウイリアムズ~ リーガ最速にしてビルバオの未来を背負う男
2019年夏、彼はイングランドの強豪マンチェスターユナイテッドからオファーを受けた。その時の出来事についてウイリアムズはこう言っている。「マンチェスターユナイテッドから連絡がきたよ。ただ僕の一番の夢はずっとビルバオに留まり、引退することだ。」
時速36kmという他を圧倒するスピードを持ったウィリアムズに興味を持つクラブは数多ある。そのような中、ビルバオに残留してくれたウィリアムズには感謝しかない。
バスク地方に関係している者しかプレーできないビルバオというクラブにおいて、彼は他の選手と異なる肌の色をしている。父親はガーナ人、母親はリベリア人とともにアフリカにルーツを持つからだ。
1994年ウイリアムズはビルバオで生まれ、幼少期のほとんどをナバーラ州にあるパンプローナで過ごした。そこで彼はCDパンプローナの下部組織に入団した。CDパンプローナはモンレアル(レアルソシエダ)やヘスス・マリア・サトゥルステギ(レアル・ソシエダで133得点を奪ったレジェンド)を輩出したクラブでもある。
パンプローナでフットボールの基礎を学んだウイリアムズは彼が18歳のときビルバオのスカウト陣に才能を評価されアスレティックビルバオのサードチームであるCDバスコニアに移籍した。
そこでウィリアムズは2試合に1得点のペースでゴールを決めると、翌年アスレティックビルバオのセカンドチームである、ビルバオアスレティックに昇格した。
ビルバオアスレティックではいきなり膝のケガを経験したウィリアムズだが、ここでもすぐにチームに適応する。ウィリアムズは19才で18試合で13ゴールとこの年代としては圧倒的なパフォーマンスを見せた。
当然ファーストチームの監督であるエルネスト・バルベルデもウィリアムズをトップチームに昇格させた。彼が18才の時だ。
トップチームに昇格してからウィリアムズは活躍し続けている。現在ウィリアムズの一部通算175試合に出場し38ゴールをあげている。
前線(特にセンターフォワード)の世代交代があまり上手くいっていないビルバオにおいて、アドゥリスに代わるセントロ・デランテーロ(センターフォワード)としての素質を持った選手は彼しかいない。
おそらく彼の適正ポジションは右のウイングだろう。しかしフットボールにおいて一番重要かつ花形のポジショニンはセンターフォワードだ。
同じそのポジションには、ゴルカ・グルセタとアシエル・ビジャリルベという2人の若手とケナン・コドロという中堅の選手がいる。
彼ら三人がアドゥリスに代わる絶対的な選手になるだろうか?若手2人は成長するかもしれないが、すぐにアドゥリスの代わりになれる選手ではいない。コドロも悪くはないがアドゥリスのレベルではない。
では誰がアドゥリスの後釜をするのか。おそらくイニャッキ・ウィリアムズしかいないだろう。アドゥリスのプレースタイルとウィリアムズのプレースタイルは全く異なるとしても。
アドゥリスはフィジカルを武器にボールを納めることや、ボックス内での駆け引きを武器にここまで結果を残し続けている選手だ。
反対にウィリアムズはスピードを武器に相手のサイドの裏のスペースに流れながらボールを受けることで、相手のラインブレイクを得意とする選手だ。
2人のそのプレースタイルは全く異なる。ただボールを納めることもラインブレイクもどちらとも味方の選手を前線で助けるという意味で似ている。
ウィリアムズがチームとの契約を2028年まで延長したときこんなコメントを残している。「2013年に下部組織に入団した時の目標はトップチームに昇格することだった。でも今チームの助けになりたいと思っている。僕は見本になりたいんだ。アドゥリスのように。ビルバオの素晴らしさを人々に知ってもらい、誇ってもらいたい」
今まだ10代の名前も知れていないバスク人選手がいつかこんなことを言うときが来るかもしれない。「僕の見本はイニャッキ・ウィリアムズだ。彼のようになることが今の目標なんだ。」
ビルバオを応援する者として、ウィリアムズには大きな期待をしてしまう。せっかくビルバオで成長しても、イングランド・プレミアリーグに移籍してしまう選手が多い。(ラポルトやケパ、アンデルエレーラなど)
そのような中で、ビルバオに残留し続けてくれるウイリアムズには感謝しかない。これからもアドゥリスの後継者として、さらにはビルバオの将来を担う役割をはたしてもらいたい。
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